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最初に目覚めた感情は
あの日から、私の生活は一変する。
ヒスイとは、週に1度この森で会う関係になった。
最初に再会したとき、私は彼に女性であることを告げる。
すでに精霊だということを伏せているのに、男を装おうのも疲れるからだ。
もちろん、見た目も中身も女の、人の形を模している。
髪の色と、目の色は同じで、髪の長さも精霊の私と変わらない腰あたり。しっとりした髪ではない、柔らかい髪はくせっ毛で、風に遊ばれている。
胸は……なにかで、潰していたということにした。帽子を被っていたことで、髪は丸めていたと誤魔化している。
「女の子だとは知らなくて……ごめん。何度も、勝手に手を握ったりして……」
ヒスイの最初の一言はそれだった。あのときに気になっていた感情。
そして、なぜか男を装っていた私には見せなかった、表情をしていた。
これは、知っている。
愛の精霊として、何人もの恋人たちを見てきたからだ。でも、どうしてそんな表情をしているのかは、分からない。
「改めて、こんな僕でも良かったら……友達になってくれるかい?」
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