最初に目覚めた感情は

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「それなら、もしも……君が、嫌でなかったら、僕が君の名前をつけてもいいかな?」  これは……想像していなかった。だけど、ヒスイになら……いや、私と違って(もろ)い生き物だから、どうせ一時の名前に過ぎない。  そうだ……どんな名前をつけるか興味があるだけだ。私は、自分にそう言い聞かせて小さく頷く。 「――マリン。本当は、空の色をしたキレイな瞳の名前をとりたかったんだけど、僕の名前が宝石の名前なんだ……それで、僕たちの出会いは、宝石だろう? 宝石で、アクアマリンというキレイな空色……本来は海の色らしいんだけど。今、君がつけてくれている宝石の名前だ」  名前をつけられた瞬間、私の中で、なにかが弾ける感覚に襲われた。  今まで、感じたことのないもの。  首に下がる宝石を手にとった私は、心の奥が熱くなるのを感じた。本当の姿も、同じ空色をした瞳の宝石。アクアマリンの名前からとった、私の名前――マリン。  母なる海と、同じ呼ばれ方をする、名前でもあるらしい。
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