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待ちに待った2度目の今日を迎える。だけど、いつもの今日と違い、生憎の雨だった。
人間は、濡れないように対策をしている。私も、人の形を模しているのだから、同じことをしないと怪しまれるかもしれない。
だから、捨てられた人間の傘を拾って森の中で刺している。
精霊の姿だと、全く気にする必要もなかったし、雨に濡れても私は自然と一体だからキレイだった。
だけど、人の形はダメらしい。髪の毛が普段より遊んでいる。魔法を使ってどうにかすることは可能だけれど、人の形を模したら魔法は使わないと決めていた。
なぜか、ここに住む人間は魔法を使えない。
まだ約束の時間までは1時間もあった。
だけど、町の方から傘を刺して走ってくる姿が見えてくる。
その姿は、ヒスイだった。
赤い傘を刺す私に気づくと、ヒスイは最初に深く頭を下げる。
「すまない! 約束を破ってしまって……連絡をとる手段がなかったとはいえ、なにも告げずに……君を、1人にしてしまった」
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