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渡されたのは、工場の場所と、ヒスイの自宅の所在だった。
全て、自分の文字で書いているらしく、筆跡が違ったら怪しむように忠告される。
そんなことよりも、今の私は感情が大忙しで、先ほどのヒスイのように目が丸くなっているかもしれない。
だけど、当のヒスイに変化は見えないため、いつもどおりの無表情らしい。
『君との時間の方が大切だ』
その意味が、知りたいのに……今の私には、分からない。
だけど、私の感情は楽しいよりも、なにか他のもので埋め尽くされているような、感覚があった。それがなにか、聞きたかったけど、精霊の私でも分かることはある。
これは、他人になら聞いてもいい話だ。
だけど、当の本人に聞くのは、ダメだということ。
話を聞いていない私に、ヒスイは顔の前で手を揺らして、その表情は心配そうにみえた。
それでも、今の私を支配しているこの感情が分からなくて、ヒスイとの楽しい時間は過ぎていく。
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