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知りたかった感情は
ヒスイと出逢って、毎週会うようになってから、私たちは週に1度ではなく、今では1日おきに会っていた。
彼は仕事があるけれど、私は日がな一日を過ごすだけの、ただの精霊である。
手紙を届けてくれる街の人間も、固定されたから安心だった。
そうして、気がつくとヒスイと出逢って1年の月日を迎える。
私にとっては1年なんて、1日にも満たないものだったけれど……ヒスイと出逢ってからは、1日が前よりも短く感じた。
会う時間が増えたのに、更に短く感じる。この感情は、よく分からない。だけど、楽しいという感情が芽生えたときから、ずっと傍にいた気がする。
きっと、人間の感情でなら知っているけど、私自身は知らない感情だ。
今日も、人間にとって心地良い気温と晴天の日。
ヒスイと会う日は、いつも晴れていた。あの怒りの感情を知った日、以外は。
ぼんやりと活気だつ町の様子を眺めていると、こちらに走ってくる姿を捉える。
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