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愛の精霊
私は、愛の精霊……名前はない。
1000年前から、人間たちの愛の手伝いをしている。
生まれた時は、名前のない、ただの精霊だった。
ほんの少しだけ、人間という弱い存在に興味をもったのが、つい最近のように感じている。
人間は、脆い存在だったけど感情豊かだった。
喜んだり、怒ったり、時に哀しんだり、楽しそうだったり。
それを感情だという。ある人間が、私をみて不思議そうに教えてくれた。
今日は雨が降っていて、いつもの明るい声も聞こえない。
黒い雲に覆われて、街全体が灰色のよう。
時折、上空を黄色い光が遊んでいるように飛び回っていた。
そんな中、いつもは決まって家の中にいるのに……黒い傘をさして、小さな街の教会に集まっている人間たちの姿がある。
私が、1000年以上生きている中で、初めて話をした人間が死んだらしい。
泣いている人をみて、私は理由が知りたくて、人の形を模して尋ねた。
すると、『大事な人が亡くなったら哀しいのは当然だ!』と激しい言葉で返される。
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