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「…………今日も一段と綺麗だよ」
「ありがとう、あなたも素晴らしいわ」
「では行こうか」
ヴィルは満足そうに私の手の甲にキスを落とし、馬車へと誘ってくれた。
今日のドレスも全部彼が揃えてくれたもので、ハイウェストのエンパイアラインのスカートに袖口は流れるように大きいベルスリーブで、どこかの国の王女様のようなドレスだった。
布地は白に近いベージュからピンクラベンダーへのグラデーションが綺麗で、宝石にはブラックダイヤモンドがアクセントに使われている。
プロムの会場に着いて、入場する為に入り口で待っている間、廊下では私たち2人だけだったのでドレスのお礼を伝えてみる。
「今回も素敵なドレスをありがとう。とてもエレガントなデザインで素敵だわ」
「プリンセスのようなデザインだろう?君は私のプリンセスだから……」
「もう!すぐそういう事を……」
意地悪な表情でからかってくるので、いつものように返すと、ははっと大きな口を開けて笑うヴィルを見ながら、今夜くらいは素直に自分の気持ちを言ってもいいかなと思った。
「あなたもとても素敵よ。まさに王子様ね」
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