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「…………もしくは王都から動けない理由が公爵にあるのかもしれない。その辺は、今の時点では確かめながら動く時間はなさそうなんだ」
「なぜ時間がなさそうなのですか?」
私が素朴な疑問を口にすると、ゼフが説明してくれた。
「明日、港に寄港する船に子供を乗せていくという話をしていたんです。そこに司教も立ち会うような話をしていました。」
「明日?それは随分急ね…………それに司教までもが人身売買に加担していたのね……残念だわ。聖職者でありながら、人を救う立場の者が人を売ってお金を得ているだなんて。そんな人が領地にでも来たらどうなるかは、想像しただけでも恐ろしい……今司教が領地にまで来ている、この機会を逃すのは惜しいわね……」
「はい、現場を押さえれば領地の教会にやって来る事を阻止出来ます」
それは、確かに…………捕まえるなら、とにかく現行犯逮捕じゃないとって事よね。そうでなければ、また犯人扱いしたって騒がれてしまいかねない。今回は人身売買だから、特に現場で押さえる事が重要だわ。
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