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あんな最期になってしまったけど、私はオリビアの人間臭さが好きだった。彼女は王太子の事が本当に好きで初恋だったはず……王太子妃候補に選ばれ、ずっと一途に想い続けて王太子妃教育も頑張っていたのに……ポッと出の聖女に立場を奪われてしまうだなんて。
世の中不公平だわ。能力がある人間にはどう頑張っても勝てないっていうのが…………読んでいてオリビアが可哀想で仕方なくて。彼女が幸せになるルートをあれこれ妄想した事もあったな。
それにしても、オリビアってこんなに美少女だったのね……そりゃ我が儘になるわ、と納得するほどの美少女だった。こんなに美しくてお金持ちなら、何でも手に入ってしまいそう。
そんな事を思いながら鏡の中の自分をまじまじと見ていると、心配した女性が声をかけてきた。
「お嬢様、まだ頭がボーっとしますか?ひとまずベッドに戻りましょう。それから公爵閣下とお医者様をお呼びいたしますね!」
そう言って私を支えてベッドまで連れて行ってくれた後、ペコリと頭を下げて扉を出ていった女性は、おそらくオリビア付きの侍女のマリーベルだろう。
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