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「惚れ直した?」
それはいつぞやの質問――――司教達を捕まえて、港から荷馬車に乗って領地に戻る際に交わした言葉。あの時は全然好きになれなくて同意する事はなかったけど――――
「…………そうね、惚れ直したわ」
私がそう告げると、ヴィルは驚いてこちらを凝視している。凄い視線を感じるわ……顔が熱い。
私は、まだ一度も彼に自分の気持ちを告げていない。
だからこの言葉を言うのは、私の中ではとても勇気がいる事だった。
「……オリビア」
「何?」
「こっち向いて」
「………………」
恥ずかしくて顔を反対に向けていたのに……お願いされたので、渋々ヴィルの方を見ると、切羽詰まった顔をしている彼の顔が目の前にあった。
「…………もう1回聞きたい」
「……………………」
「お願いだ」
「……………………もう……とっくに惚れ直しているわよ」
私が言い終わるか言い終わらないか分からないくらいのタイミングで、彼の顔が近づいてきてキスの雨を降らせてきた。
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