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到着
俺たちはラボへ到着し、その後三宮と合流した。
「待たせたな。では改めて」
三宮が席に着く。
6人がけのテーブルに、左端から三宮、俺、御守隠。向かい側にマネージャーとpurpleが椅子を真ん中に寄せて座った。
「まずは私たちから」
三宮はそう言うと、御守隠と手帳を開く。
「私たちは国から派遣された調査委員会だ」
「私も同じく、国の者です」
2人はそう言い、手帳をしまう。
俺もまた続けて話をする。
「えと、私は調査委員会の助手的な者です、よろしく」
そう言うと、purpleとマネージャーもまた同じように話し始めた。
「よろしく。私はpurple、あんりって呼んで」
「purpleさんのマネージャーの、補久保真世です」
一通り挨拶をした後、三宮は組織についての説明を始めた。
「さて、まず簡単に説明をしよう。私たちは調査委員会、その名の通りさまざまな調査を担当している。そして、今私たちが担当しているのは音楽界における組織調査だ。君たちも知っているのではないか??音楽界でのアーティスト連続活動停止について」
三宮がそう説明すると、purpleことあんりが口を開く。
「アーティストの失踪だよね。ライブ後に攫われるっていう…」
「そのアーティスト失踪について、この連続失踪はとある組織が関係している。今回も、その組織によるものだ」
そう言うと三宮は組織の一連の流れについて話を始める。
「まず、組織は不明の集団だ。何かは分からないが、組織はとある目的のために音楽界で動いている。だがアーティスト誘拐という点と、アーティストをトップ10以内に絞っているという点から、組織はトップアーティストのみが持つ何かについて調査を行っている、またはトップ10という場所に何か意味があって動いているということが分かる」
三宮は腕を組み、さらに続ける。
「…組織がどんな集団であるか分かっていない以上、私たちで君たちを保護する必要がある。まだ詳しく話せない内容もあるが、今後の調査については定期的に会議を行う予定だ」
そう言うと三宮は口を閉じた。
「…なるほどね。要するに組織はとある目的のためにトップ10を攫いに来るってわけね。任せなさい、この次期ナンバーワンアーティストpurpleが相手をしてやるわ。音楽界を制するのはこの私よ」
そう言って席を立つあんりの腕を真世が掴んで言う。
「あんりさんは保護対象ですよ!?保護対象のあんりさんが行ってどうするんですか!?」
「何言ってんのよ真世。今回のライブだってそう言う意味のライブだったじゃない。しかも組織の尻尾まで掴めたってのに、捜査に協力しないわけにはいかないじゃない」
そう言うと、真世ははあとため息を吐いて言った。
「…そこまで言うなら私も協力しますよ。私はあんりさんのマネージャーですからね」
「ふふ。…にしても、今回攫われることもなく助かったよ。ありがとう、調査員さん」
あんりは真世との会話から、こちらの方へと話を向ける。
「礼を言うのは私の方だ。ライブ後でありながら私たちの調査に同行してもらっているしな」
そう答える三宮に続き、御守隠が答える。
「いえいえ、こちらこそありがとうございます」
あんりはそう答えると、続けて俺の方を見て言った。
「特に、そちらのお手伝いさんにはね」
「…どうも」
俺は小さな声でそう答え、軽くお辞儀をした。
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