到着

1/1
前へ
/63ページ
次へ

到着

俺たちはラボへ到着し、その後三宮と合流した。 「待たせたな。では改めて」 三宮が席に着く。 6人がけのテーブルに、左端から三宮、俺、御守隠。向かい側にマネージャーとpurpleが椅子を真ん中に寄せて座った。 「まずは私たちから」 三宮はそう言うと、御守隠と手帳を開く。 「私たちは国から派遣された調査委員会だ」 「私も同じく、国の者です」 2人はそう言い、手帳をしまう。 俺もまた続けて話をする。 「えと、私は調査委員会の助手的な者です、よろしく」 そう言うと、purpleとマネージャーもまた同じように話し始めた。 「よろしく。私はpurple、あんりって呼んで」 「purpleさんのマネージャーの、補久保真世です」 一通り挨拶をした後、三宮は組織についての説明を始めた。 「さて、まず簡単に説明をしよう。私たちは調査委員会、その名の通りさまざまな調査を担当している。そして、今私たちが担当しているのは音楽界における組織調査だ。君たちも知っているのではないか??音楽界でのアーティスト連続活動停止について」 三宮がそう説明すると、purpleことあんりが口を開く。 「アーティストの失踪だよね。ライブ後に攫われるっていう…」 「そのアーティスト失踪について、この連続失踪はとある組織が関係している。今回も、その組織によるものだ」 そう言うと三宮は組織の一連の流れについて話を始める。 「まず、組織は不明の集団だ。何かは分からないが、組織はとある目的のために音楽界で動いている。だがアーティスト誘拐という点と、アーティストをトップ10以内に絞っているという点から、組織はトップアーティストのみが持つ何かについて調査を行っている、またはトップ10という場所に何か意味があって動いているということが分かる」 三宮は腕を組み、さらに続ける。 「…組織がどんな集団であるか分かっていない以上、私たちで君たちを保護する必要がある。まだ詳しく話せない内容もあるが、今後の調査については定期的に会議を行う予定だ」 そう言うと三宮は口を閉じた。 「…なるほどね。要するに組織はとある目的のためにトップ10を攫いに来るってわけね。任せなさい、この次期ナンバーワンアーティストpurpleが相手をしてやるわ。音楽界を制するのはこの私よ」 そう言って席を立つあんりの腕を真世が掴んで言う。 「あんりさんは保護対象ですよ!?保護対象のあんりさんが行ってどうするんですか!?」 「何言ってんのよ真世。今回のライブだってそう言う意味のライブだったじゃない。しかも組織の尻尾まで掴めたってのに、捜査に協力しないわけにはいかないじゃない」 そう言うと、真世ははあとため息を吐いて言った。 「…そこまで言うなら私も協力しますよ。私はあんりさんのマネージャーですからね」 「ふふ。…にしても、今回攫われることもなく助かったよ。ありがとう、調査員さん」 あんりは真世との会話から、こちらの方へと話を向ける。 「礼を言うのは私の方だ。ライブ後でありながら私たちの調査に同行してもらっているしな」 そう答える三宮に続き、御守隠が答える。 「いえいえ、こちらこそありがとうございます」 あんりはそう答えると、続けて俺の方を見て言った。 「特に、そちらのお手伝いさんにはね」 「…どうも」 俺は小さな声でそう答え、軽くお辞儀をした。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加