ライブ当日

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ライブ当日

「キャー!!ピッタリ!!かわいー!!」 「ってかお姉ちゃん、何で昔の服持ってるの」 「大学の裁縫で使うのよ」 「なるほどね。そんでわざわざ実家から」 姉の光希は福祉系大学に通っている。俺は環境系の大学に行っているが、どちらも最寄駅が同じなため、2人でアパートを借りて暮らしている。 というのも姉が行っている大学の近くの大学に進学したため、元々1人で住んでいたところに2人で暮らしている。 「とりあえず今日はこれでいこっか。明日日曜日だし、新しい服買いに行こうね」 姉は俺をコーディネートしたくてたまらないようだ。 「わかったよ。」 と言って俺は再び曲作りのため、部屋に戻る。 「また曲作るの??」 「そうだよ。今日は音声の吹き込み。って、…」 …あれ。 曲作れないじゃん。 ーーーー 色々考えた結果、月夜は宣言する。 「活動停止するか」 「そうね。最近あまり休めてないみたいだし、とにかく元の姿に戻る方法を探さなくっちゃね」 アーティスト、moonの活動停止。 人気楽曲ランキング1位を保ち続けて来たmoonが活動停止となると音楽界が荒れるだろう。ましてや再開の目処もない。しかし、元の姿に戻れない以上、活動は出来ない。 「とりあえず、ゆっくりで音源だけは作っておくか。」 「必ず休憩入れるのよ??」 「わかってる」 俺はスポンサーに活動停止の連絡を入れた。 ーーーー 「さて、そろそろライブ行こっか」 「そうだね。待ち合わせもしてるし、あっ」 …そういえば今この姿じゃん。 …。 この姿になったって話すか?? でも、そんな話を信じるだろうか。 …。 でもライブは行きたい。 うーん、でも…。 ーーーー結局、ライブは絶対に行きたいため、予定があって行けないという連絡をし、別々で行くことにした。 ーーーーライブ会場へは、1時間以上前に入ったが、既に席が埋まり始めていた。 「特等席空いてたー!!やっぱり見るならここだよねー」 「良かったわねー」 とりあえず席には着けたが、落ち着かない。 「ん?どうしたの?」 「…やっぱり、スカートっ、落ち着かない」 「普段履かないとスースーするわよねー」 「ズボン無かったの??」 「あったわよ。でも、スカート履かせたくって」 「んもー!」 「明日はズボンにしようね」 スカートの場合、太もも同士がくっつくため、まるでパンツ一枚でいるようだ。非常に落ち着かない。 そんなことを話しているうちに、席が埋まって来た。 「もう席いっぱいだねー」 「そうだね。てか、あと何分??」 「あとまだ30分はあるよ」 「そっか。…ねぇ、あと何分??」 「だから30分くらいよ。どうしたの??」 …。 「??…ハッ!もしかして!」 「行きたい!でも、行きたくない…」 「行って来なさい!!私もついてってあげるから!」 「じゃあ、やっぱり、入る方は、…」 「当たり前よ!さあ行くわよ!」 ーーーー 「ハァァァァァァァ…」 「スッキリした??でも、落ち着いてはなさそうね。」 やっぱり、早く元の姿に戻りたい。 ーーーー ライブ開始の時刻になった。 「ほら、来るわよ!」 開始時刻を過ぎ、会場が暗くなった。そして、。 「みなさん!お待たせしました!では、これよりarcライブを開催いたします!では、arcさん、どうぞ!」 「…ハッ!」 ステージから霧が吹き、その中から、arcが登場した。 同時に、ワッと会場が歓声に包まれる。 「arcー!!!!」 まるで、ショッピングモールとは思えない程の迫力である。 「おぉー!!」 本物を見るのは初めてだ。同じアーティストとはいえ、機会がなければ会うことは全くない。 「おまたせ!さぁ、早速だけど一曲いくよ!」 arcがステージの真ん中に立つ。 ライブ開始である。
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