DTM

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DTM

『DTMとは』 通称、Desk Top Musicの略であり、パソコンを使用して音楽を作成編集することの総称を指す。 世の中には、このDTMを趣味にする者や、仕事にする者などが多くおり、DTMによって作られた作品が山のように存在する。 また、DTMによって作られた数ある作品で、傑作と呼ばれるものも生まれる。 そんな傑作を作るために、今日もDTMで曲を作る者がいたーー 「さて、これで完成、っと」 俺はキーボードのエンターキーを人差し指でカチッ、と押す。 「出来た出来た。上出来だぜ、天才」 パソコンのモニターを見ながら、俺はニヤニヤしていた。  ーーガチャーー 「また部屋暗くして。明かりくらい付けなさい」 光希が部屋に入り、明かりをパチンと付けた。 「暗い方がやる気出るんだよ、もう」 俺は振り向くと同時にため息をつく。 「全く。てか、月夜、今日ガイダンス何時から?」 光希が、徐にそう聞いた。 「今日は11時だから、って、え!もうこんな時間!?」 俺は急いで立ち上がり、時計に目を向ける。そして、床やベットに散らばっていたノートやペンを拾いリュックに詰め込んでいき、ガイダンスに向かう支度をする。 「まったくもー、忘れ物ないようにね。あと、ガイダンス終わったら連絡入れるのよ」 「分かってる」 俺は、部屋を出てリビングを通り玄関へと向かう。 ーーリビングにあるテレビからは、朝の特集が流れていた。 「今月の人気ヒット曲ランキング〜!今話題の人気ソングを発表します!1曲目は〜コレ!purpleの出合いの味!」 …めっちぇ見てぇ。 テレビに耳を傾けながら、リュックを背負う。 「…。ちょっと見てこ」 「そしてー、次の曲は、やっぱりコレ!堂々の1位を獲得した…」 「ほーら、行った行った」 光希に腕を引っ張られた。 「あっ!ちょっ!今いいとこ…」 バタンーー。 大学に着いた。 なんとか間に合ったぁ。 朝の特集、見たかったなぁ。 小走りをしながら、俺は教室へと向かっていく。 「今日は忙しいなぁ、ガイダンスにライブに…ん?」 ふと横を見ると、見覚えのあるやつがぬっと現れた。 「おはよう!久しぶりだな!何日振りだ??」 「お、おはよう!3日ぶりだね」 「そうか、3日ぶりか!まだそんなもんか!」 このうるさいやつは早瀬凪。同じ学科のやつだ。 「じゃ」 「おい待て。まだ話は終わってないぞ!」 「遅刻しそうなんだよ!てかお前ガイダンス一緒だろ!急げ!」 2人で教室までの道のりを走る。 ーーーー 「はぁ、何とか間に合った…」 まだガイダンスは始まっていないようだ。 大教室の前の方に資料が置いてあるので、貰いに行く。 すると突然、背後から声をかけられた。 「や、おはよ!」 振り返ると、そこには1人の長髪の少女がいた。 「おお、おはよう!」 この子は咲田玲。 同じ学科でよく話す。 正直、ちょっと気になっている。 「凪くんもおはよ!」 「おぉ、おはよう!相変わらず早いな!」 「家近いからね〜」 3人で並んで席に着いた。、 「ねえねえ、今日テレビで曲ランキングやってたんだけど、もう見た??」 玲が俺たちに聞いた。 「あー途中までしか見てないや」 「俺は、見てないな」 「えー見てないのー?今回は第10位から豪華アーティスト揃いなんだよ!まさにアーティストのゴールデン時代だよ!」 そう言って玲が今年度の人気楽曲ランキングの一覧と人気アーティストランキングを見せる。 人気楽曲ランキングベスト10 第1位 夜の星座/moon 第2位 back time/quintet 第3位 さざめき/moon 第4位 常夜灯/purple 第5位 ブラックライト/りょう 第6位 上等でshow!!!!/reo&rui 第7位 night ocean/moon 第8位 o'clocks/quintet 第9位 その愛を私に/ねる 第10位 帰り道/道尾翔 人気アーティストベスト10 第1位 moon 第2位 quintet 第3位 arc 第4位 purple 第5位 りょう 第6位 reo&rui 第7位 ベル 第8位 ねる 第9位 高坂昇 第10位 きゅーり 「お、ベルさん入ってる。まだまだ人気だな」 一覧をずらっと見る。 人気楽曲ランキングには入っていないものの、アーティストランキングでは7位に入っているベル。 リリースから3ヶ月は経ってるだろうに、ベルさん底力あるなー。 「ねー!でもこんなに人気あるのになんでいなくなっちゃったんだろーね」 「さあな」 アーティストランキング7位に入っている、ベル。 元ダンサーであり、曲に合わせたダンスが人気である。そんなベルだが、ベルは、1ヶ月ほど前から行方不明になっているらしい。 音楽業界にも色々あるもんだ。 「やっぱり、人気はなんと言っても1位のmoonだよね!」 玲が楽しそうにしながら語り出した。 人気ランキングで、堂々の一位を獲得しているmoon。 3年ほど前から突如現れ、以来楽曲ランキング1位の座を持ち続けている正体不明のアーティストである。 ピアノと歌の調律で、夜を奏でる歌手。 幅の利いたボイスから、計り知れない音楽を彷彿させる。 彼の持ち掛けた楽曲はほぼ全て、必ずと言って良いほどランキングtop3に入る。 音楽でこのアーティストを知らないものはいないと言っても過言ではない。 「この正体不明ってのがまたそそるよね!ライブとかあったら行きたいなー。…ん、月夜どうしたの?」 「ああ、何でもない」 おっと…。 思わず興奮してしまっていた。俺も玲と同じで楽曲には興味がある。 「てかさ、明日駅前のショッピングモールにarc来るんだよ!もちろんライブ行くよね???」 「もちろん!絶対行く!」 曲について温まり始めて来たところで、教授が教室に入って来た。 「では、ガイダンスを始めますよ」 ーーーー ガイダンスが終わり、チャイムが鳴った。 「おつかれーまた明日ね!」 玲が手を振る。 「おうーまたなー」 さてと、帰宅するか。なんか今日ちょっとぼーっとするし、早く駅行こ。 時間を確認しながら凪と、バス停へと向かう。 そういえば、明日はそこのショッピングモールでarcのライブがあるのか。 この町にそんな有名アーティストがライブをしに来てくれるなんて、今年はついてるなぁ。 バス停にちょうど止まっていたバスに乗り込む。 後方左奥の席に座る。 明日のライブでは何の曲を演奏するのだろうか。 「なぁなぁ、明日のarcのライブ何時からだっけ?」 凪に聞く。 「駅前のショッピングモールだってよ。でもライブ会場じゃないから絶対席埋まって見えなさそうだな。」 ショッピングモールで行われるライブは、ライブ会場よりもかなり狭い。 そのため、前方でライブを聞くのであれば、早い時間に会場に行く必要がある。 会場の把握だけしておくか。 音楽ヲタクの愛着は計り知れない。 バスを降りて、会場へと向かう。 バス停からショッピングモールまでは徒歩5分ほどだ。 バス停がある最寄駅にショッピングモールがくっ付いている。 会場までの道のりには、いくつかの看板を見かける。 arcやって来る 看板には、会場までの案内も書かれていた。 「明日は相当混みそうだな。もっと早い時間に集合するか。」 「そうしようか。」 人気アーティストランキング3位 arc デビューから一定数の人気を誇る定番アーティスト。 彼の持ち前であるギターソロは特に名が高い。 楽曲に合わせたベースボイスとギターの組み合わせは、熱狂的ファンをさらに熱狂的にする。 そんなarcをお目にかかれるとは、非常についている。 「そういえば、arcに会うのは初か?」 凪が聞いた。 「そうだな。arcに関してはテレビでしか見てないな。」 「ふぅん。お前が3位に会ってないなんてねぇ」 「んだよ。全員会ってるわけでもねぇよ」 そう言いながら、目の前のエスカレーターを登る。 「じゃあ、明日会場でな」 「おー、またな」 「寝坊するなよ、プロの歌手さん」 「…はぁ」 凪を送り、俺は会場へと足を運んだ。 俺は、ライブを好むヲタクであり、曲を作るアーティストである。 そう、俺は、アーティスト。 アーティスト名、moon 世界一のアーティストである。
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