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「本日お使いになられたものでよろしいでしょうか」
「はい」
ズラっと並べられたのは化粧水や乳液、化粧落としまでセットで、値段を見ると高校生のお小遣いで買えるものでは無い!
「姫愛さん、気に入りましたか?」
「はい。でもこんなに化粧品て種類とかあるって知らなくて。それにすごく高いから……」
「そうですね……」と店員さんと秋穂が何かを話していてかなり目の前から商品は消えたが、これでも最低限のものだという。
「毎日これ使うんですか?」
「朝と夜に化粧水だけでもかなり違うと思いますよ。まだお若いので平日はこの二本。お出かけの時にはこの二本の後にこちらだけでもよろしいかと」と化粧水と乳液などの付け方や、化粧の落とし方などを書いたパンフレットを貰う。
「では、これは部屋に運んでおいてください」
「畏まりました」
「あ、秋穂さん!」
こんなに高価なものを誕生日でもないのに貰うのは気が引けるし、かと言っていりませんとも言えない。
「良いんですよ。家に葉子さんがいるでしょう?」
「居ますけど……」
「彼女に使い方を聞いたらいいと思います。お肌の保護は若いうちからのがいいですよ?40代50代になった時に全然違いますから」
「く、詳しいんですね?」
「これでも医者ですから」
「でも内科の先生なんじゃ」
「そう思うでしょう?」
「はい」
レストランで席に座り、イメージ的に内科な気しかしないと言うと、「僕は内科と、外科の治療ができますが、本当は技師になりたかったんですよ」
「レントゲンとかのですか?」
「そうです。でも大学に入るときには既に記憶が戻ってまして、最初は医学部ではなく違う大学を受験したんです」
「行かなかったんですか?」
「父が皇グループの本社に入るのならば受けた大学でいいと。経済学部もありましたから。でも僕はあんな大きな会社が嫌で嫌で。それで医学部も受けたんです。そしたら受かっちゃいまして」
「難しいんですよね?」
「かなり勉強はしてましたし、無理かな?と思いましたけど何とか。で、授業を受けている間に最初は外科を目指したんです」
「でも内科で院長でって、若いのになれるんですか?」
「術で!」
そっちか!と思ったが、ちゃんと卒業もして研修もし、最初は診察もしていたという。
「栗花落が記憶が戻った時に術をかけました。その方が色々動きやすかったので」
そっちもなんだ……と思ったが、まだ私は何も思い出せないでいる。
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