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大神郷地震
それは天正十三年十一月二十九日に起きた大地震、のちに天正地震と呼ばれたものと同じ震源地で起きた。不思議なのは過去の震災とは違い狭い範囲だけが激しく揺れロックフィル式ダムの周囲の山体を崩壊させた。鬼雲城趾と呼ばれる場所が特にひどく、川を塞き止め小さなダムを作る有り様である。
かつて城下町のあった城の名は鬼雲城、戦国時代には金銀などが採掘され栄華を誇った城であった。城や城下町の下に坑道を掘ったが為に崩壊したと伝わっている。その山がさらに崩壊し奇妙なモノが露出していた。
被災した地元民より先にそれをまじまじと観察する眼がいくつもあった。遥かな空の上、衛星軌道からいくつもののレンズが映像情報を各国に送信している。
極東の島国の山奥に世界中からボランティアに偽装した特殊工作員が集結しつつあった。
「二体の巨人か……」
モニターを見ながら顎を掻く白人。
「猟犬さんの故郷ですか、どうしますか?」
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