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途切れ途切れの思念と共に男の姿と気配は消えた。明るかった空間が夕闇のように暗く戻る。水晶体のみが淡く光を灯す。光の中には全裸の女性が長い髪をたなびかせ浮かんでいた。
「彼女の意志を聞けだって?」
水晶体の表面に掌をあて軽く撫でる。
「……!?」
硬質な手触りが消失し掌が中に入り込む。独特な感触に思わず腕を退こうとすると手首を掴まれた。グイッとそのまま全身を引き込まれ息が詰まる。反射的に両目と口をグッと閉めると頬を柔らかい手で挟まれた。次いで柔らかな感触が唇に触れる。
「!?……」
怖々、瞼を開くとそこに女性の顔があった。
────貴方が今世での我が主人ですね。因子の授与をいたしました。
頭の富士額辺りの上がむず痒い。女性が唇をはなす。むず痒さに指を這わせると微妙な硬い突起のような盛り上りをみつけた。
────今世の情報を収集する必要がありますのでこちらの原始的な通信デバイスをお借りいたします。
女性の手にスマフォがあった。いつの間にかとられたようだ。
────外宇宙より脅威がまいります。ユニットを喚びました。外でお待ちください。また後程……
「君の名前は?」
水晶体の外にはじきだされる寸前に問いかける。
────私はクシナダ、アメノトリフネの巫
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