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悪夢襲来・巨人始動
◈
遺跡入口からあわてて出ると二人は一目散にジムニーに駆け寄る。
「エンジンがかからん!?」
「なんで?」
「くそっ、走れ!」
腕の長い巨人像の脇を伝いながら駆け下りていく。モワッとした感覚が黒光りする巨人像から伝わってくる。磁界のような感触だ。
「さっきと違う?」
「どうした? 急げ!」
叫んだ九嶋の声が寸断され姿が歪む。透明な分厚いなにかに被われたような……
「ぐぁぁぁ~!」
くぐもった悲鳴が発せられる。
「あっ!」
九嶋の周りが朱色に染まりなにかの輪郭が浮かびあがる。それは海月のような傘をもつ触腕が異常に長い巨大な蛸の姿をしていた。よく見ると九嶋の首に細い管が突き刺さりドクドクと血液を吸いだしている。みるみるうちに干からびていく九嶋。
「キャトルミューティレーション?」
牛ではない被害者は人間だ。ヒューマンミューティレーションである。
九嶋の血を吸い終え化け物は干からびた身体を離す。ついで信吾に触腕を伸ばした。
「うわぁ!」
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