ぼくのポケット

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ぼくのポケットは宇宙とつながってるんだって ぼくのポケットの中 手をつっ込んだら、砂漠の星が広がっていた 広い広い砂漠の中をジャッシジャッシと砂を踏みしめるラクダになった気分だ ぼくのポケットの中 手をつっ込んだら、雪国みたいに、真っ白な世界 ふわりふわりと舞い散って、辺りを白く染めていく雪、ちょっと厄介な雪 ぼくのポケットの中 手をつっ込んだら、さあ出かけよう、ジャングルみたいな秘境の星へ! 知らない虫を見つけたら、研究のために持ち帰らなきゃね! ぼくのポケットの中 手をつっ込んだら、甘い匂いが広がる、お菓子の星かもしれない チョコレート、ビスケット、混ざり合ってグニャグニャで…… あれ? これって、いつのだっけ? ぼくのポケットの中 探る度にママはいつも悲鳴をあげる 「どうしたら、砂なんか持って帰るの!」 「ティッシュはポケットから出して洗濯機に入れなさいって、いつも言ってるでしょう!」 「いやああああ! 干からびたダンゴムシ!!」 「いつのお菓子なの? 溶けちゃってベタベタじゃないの!」 ママは、怒って叫んで、最後はいつもため息をついて、あきらめたように、こう言うんだ 「あんたのポケットは、宇宙とつながってるんだよね」 ――ぼくのポケット―― おしまい
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