1人が本棚に入れています
本棚に追加
桜色、舞う
桜がハラハラと舞う。
道の両脇から降り注ぐ桜色。
僕は、今日のことをきっと忘れられない。
振り返れば、車を背にした先輩たちがいる。
「おい!春夜!迎えに来てやったぞ。」
「全く。先輩の手を煩わせてさ。感謝してよね。お礼はあっちで何か奢ること。」
「ハルくーん!!めっちゃ久しぶり!!」
「夏都、一応大学生だろ。ピョンピョンするな。ハル、おいで。」
先輩たちが笑っていた。
この一年間。僕は胸を張って言える。
「せんぱーい!俺頑張りました!」
そう言うと、またあの日々のように、
「おう!それでこそ桜世男子だ。」
「早く乗りな。」
「またそうやって水を差す!」
「いいから!女子に見つからないうちに乗って!」
急いで俺の荷物を奪うと、車に走っていく先輩たち。
僕はその背を追いかけた。
あの日々が、また、僕らを待っている。
最初のコメントを投稿しよう!