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「あかさん、行ってくるね…」
「あなた、いってらっしゃい…」
「あ!そうそうお弁当…」
「昼食ぐらいしっかり摂ってね!」
「今日も遅くなるの?」
「そうだなぁ…夕飯は会社で適度に食べるから…」
「そうなの?この頃残業で大変ね…」
「からだ壊さないでね…」
「あ、あなた「鍵」忘れてるわよ?」
「もうパパったら「鍵」忘れたら家に入れないよ?」
「本当パパ無理しないでね…」
「うん…ありがとう志穂」
おれは毎日激務であり早朝7時には家を出て帰りはいつも11時を過ぎていた。
そんな朝の会話がかみさんと娘との最後で…
永遠の別れとなった。
今ではA Iによって製品の開発も大きく進化し人間の発想を補っていたが…
A Iはまだ人間の心情…
人情まで克服する事が出来ずその部分をおれ達人間が補っていた。
おれはその課の責任者であり部下五人と共に仕事をしていた。
人類の進歩は留まる事なく新しい製品を生み出す…
会社は生き残る為奇抜な新しい製品を生み出すことをおれ達に要求し…
おれの課、新規製品開発課は常に酷使させられていた。
「課長、この製品A Iに検証させたのですがどうも?」
「おい、山崎お前の立場から考え心情的な事や人情的な事はどうなんだ?」
「それなんですが…
こんな世の中でそんな心情や人情って必要なのでしょうか?」
「A Iは心情や人情などまったく必要無いと判断していて…」
「そうか、でも人間としてそれを失えば人類は崩壊するとおれは思う…」
「だからこの仕事をおれはまっとうしているが…?」
「課長の言うことは分かります…
しかし….」
おれと部下が議論していたこれから世に送り出す製品は「善人・悪人探知機」であった。
なぜ会社の執行役員はこの様な機械「善人・悪人探知機」を世に送り出せと命じたのか?
それはこの国の治安が崩壊し始めたからだ…
その要因は企業は生き残る為に雇用を最小限にしA Iを頭脳とした企業方針を掲げ進めたからだ。
それにより世間でもA Iを頭脳とした風潮となり失業率はなんと30%を超え犯罪が増加し防犯機器だけでは詐欺、強盗、殺人など防ぐ事が出来なくなっていたからだ…
おれの率いる新規開発製品課は「善人・悪人探知機」開発に悪戦苦闘していた…
この「善人・悪人探知機」に埋め込まれたチップにより国民をナンバーで管理していて莫大なデータからその人間の資質などを判別をし、そこから善人・悪人を判別する事が出来ていたが…
人間は理解出来ない突発的な行動を取る…
その突発的行動は感情から生まれその感情は一定では無く10数秒で変わるとされていた。
無差別殺人に於いても発作的に行った事例があり現時点ではこの発作的行動について「善人・悪人探知機」はクリアできていなかった。
そこで「善人・悪人探知機」のモニタリングを行うことになった。
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