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6.
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社長及び執行役員からの圧力をかけられた新規開発本部長は「善人・悪人探知機」を早急に世に送り出すよう要請され、おれ達は不眠不休で「善人・悪人探知機」の不足部の改良に取り掛かっていた。
「おい、山崎、「善人・悪人探知機」において不確実な部分は前科のない人間のフロイド状況の認識が100%出ないことだよなあ?」
「課長、100%はあり得ない事です…それでも97%まで行きました…これが限界では?」
「そうか、そうだよなぁ?フロイド状況…人間の精神状態の把握は限界があるからなぁ…」
おれも部下も不休不眠である事から意識が朦朧としていた。
「ヨシ、フロイド状況をあと2%まで上げて99%まで何とか?」
「分かりました課長やりましょう!」
すると電話が…
「ツー、ツー、ツー」
「ハイ…」
「課長お電話です…」
「手前の簡易携帯を取って下さい」
「…」
「ハイ…」
「氷室です…」
「氷室真さんですね、こちら港北警察署の佐竹と申します…」
「大変申し辛い事なのですが…」
「安置所にご家族のご遺体を…」
「え、何を言ってるのですか?」
「24時過ぎに奥様から110番通報があり駆けつけたところ…何者かに殺害されておられました…」
おれは頭の中が真っ白になり言葉を返す事ができなかった。
夢であって欲しい、嘘であって欲しい…おれは切実に思いながら港北警察署に向かった。
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