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9. 「あかさん、志穂、行ってくるね…」 おれはかみさんと娘の遺骨に言葉をかけ出掛けようとしていた… その時… 「ハイ、氷室です」 おれの携帯に警察から電話があった内容はかみさんと娘を殺した犯人が見つかった事であった。 警察の話では犯人は自宅の近所の住人で犯人の自宅からおれの家族を殺傷した刃物が見つかり、犯人の自宅リビングで首を吊り自殺していたと… 犯人は前科は無かったが犯行一週間前に家族を強盗に殺されその悲しみから衝動的な妬みによる犯行では無いかと警察が話していた。その裏付けは遺書のような文章が携帯のメモに残されていた。 「私は全てを失った…こんな世の中に誰がした?人間が人間として生きていけない世界に…私は死ねが…ただ死ぬのはどうか?誰かを道連れに?」 犯人の不合理極まり無い行動の被害者にかみさんと娘が選ばれてしまったのだと… しかし、すでに五年の歳月が過ぎていた。
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