魔法使いは城へ導かれる

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 そして転送用の魔方陣が発動されれば、もう出ることはできない。その発動コードは私が知っている。 「どうなってるの!?」  見えない壁に阻まれて魔方陣の外に出ることができないマイカ。透明な壁のようなものを一生懸命叩いている。 「うっかり炎の魔法とか使わないでね、蒸し焼きになるよ。その中、全部反射するから」  そう言ってみんなが見ていた偽りの城ではなく、私が日頃見ていた本物の空中に浮かぶ貯蔵庫を指差した。  魔方陣の中にいるものだけ転送先の場所を見ることができる。直接空間がつながっているからだ。 「あれが本来のあなたたちがいう城っていうやつ。一部燃えた跡があるでしょ?」 「シェフィ!? なんなのこれ!」 「あそこに保管されてた魔法使いが炎を使ったみたい。私が十四歳になる前だったから調整が間に合わなかった。魔法使いが二、三十人は死んじゃったんだと思う。だからね、このままじゃ魔法が枯渇しちゃう。補充しないと」  本来は一定の数が必要な魔法使い。それが大幅に減ってしまうと、あそこに残っている他の魔法使いに負担が大きくなってしまう。  そしたらそこにいる魔法使いたちが全員早死にしてしまう。そうなる前に他の魔法使いを送り込まなければ。 「あそこに行ったらどうなるの私、どうなっちゃうの!?」 「国のために働いてもらうだけだよ。大丈夫、何もしなくていいよ。魔法は勝手に取り出されるから気にしないで」 「どんな方法で!?」  鋭いな、そこが気になるんだやっぱり。私が優しい言葉をかけなかったからさすがに気がついちゃったか。 「自分の意思で指一本動かすこともできないけど、勝手に体に栄養を入れられて永遠に生き続ける。歳をとらなくなるよ、よかったね」  ずっと若くいられるのは女の子の憧れだもんね。そう言ってみせると目に涙をためながら必死に首を振った。 「野菜や果物だって、実をつけたら人が収穫するでしょ。それと同じ。誰もみんなを傷つけないよ、何がそんなに嫌なの」 「やめて!」 「そんなに嫌? あんなに行きたがってたのに。怖いかもしれない、死ぬかもしれないなんて微塵も思わなかったんでしょ。夢が叶うのにどうして嫌なの? 都合良すぎない?」  私は空間を遮断している境界線ぎりぎりに顔を近づける。マイカの顔を、覗き込む。マイカは恐怖に引きつっていた。
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