魔法が使えない者達とは

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 王家として招集されるのが常駐者? では、有事の際に目覚める、とは。なに? 有事とは? 目覚めるとは?  聞いてはいけない。それを聞いたら、なんだか。もう二度と、マイカたちと会えなくなってしまう気がした。絶対に魔法使いに関わる何か大切なことだ。  ……あれ? なんか、困るのかなそれ。だって最近遊んでないし、それほどしゃべってないし、農作業にも参加してないけど。私、困ってなかった。お父さんたちと一緒に働いていれば何も困らなかった。  私、別に魔法使いがいなくても普通に生きてきた。 「魔法使いは魔法が使えることを誇りに思っている。魔法は便利だからね。便利な物、楽な物を使いたがるのは人の性だ。だから、使えるモノは使う。そこに罪悪感はない。シェフィ、君は何も心当たりはないかな? 計算式に詳しく頭が良い君は、友人として。いや、同等の『人』として見てもらっている?」  ヴァイスが微笑みながら……いや違うな、作り笑いだ。楽しいから笑っているんじゃない、私を安心させるために笑っているんじゃない。  魔法使いを、嘲笑っているんだ。 協力してもらってるだけだよ。そう言って喧嘩をしていた彼ら。 ――私今までお礼って言われたこと、ないけどね。 利用していて何とも思わないの、と怒っていたマイカ。 ――その後の会話で、じゃあマイカはシェフィに一切頼らず一人でやればと言われて黙り込んでしまっていた。 ああ、そうだね。お母さんの言った言葉が蘇る。 魔法使いと、魔法が使えない者は。 わかりあえるわけないよ。だって、彼らは。  とても愚かだ。 「教えてください。城のこと、魔法使いのこと。そして、この国の成り立ちを」 「もちろん。だが一つ聞きたい、君はいつ十四歳になるのかな」  そういえば明日誕生日だった。年齢も何か関わってるんだ。明日と告げると、ヴァイスとエデン神父は頷きあった。近くにあった岩に簡単な方程式をかきこむと、地面から本棚が突き出してきた。まるで魔法だ。いや違うか、魔法は五元素を発生させるだけで人が作り出した「物」を発生させることはできない。 「この国の真の歴史だ。これを書き記すのも王族の役目」  私は手に取る。本を開くとそこに書かれていたのは……はるか昔に失われたと言われていた幻の大陸アトレーンティーズ。その国の文字ではないかと言われている、古代文字。さすがに読めない。 「大丈夫。明日になれば、読めるようになる」 「十四歳に……」
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