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魔法使いは城へ導かれる
それから三日経った。シェフィの幼馴染たちだけが、シェフィの家に呼ばれた。
「シェフィから手紙が届いたの。今日の夕方には家に着くんですって」
「本当!?」
皆嬉しそうだ。マイカだけは、黙り込んでいる。
「みんなピリピリしてるから、まずは貴方達に教えておこうと思ってね。他の人に知られたらもみくちゃにされちゃうわ、ケガするかもしれないし」
「わかった、まずは俺達だけで動く!」
大人たちなんかに渡してたまるか、そう言いたいのがわかる。急いで皆魔法陣を描いた紙を取りに戻った。
魔法使いに利用されるよりはいい、って言っていたはずなのに。教えてくれるのか、と。マイカは疑問には思ったが、口に出さなかった。出せなかったのだ。ニコニコ笑うシェフィの両親の顔が、雰囲気が。とても怖かったから。
夕方、シェフィが家に戻り皆は笑顔で迎えた。
「遅いよ、もう!」
「教会の話とか、本が面白くて。私には必要な知識だったから」
「昔から勉強が好きだもんな、シェフィは」
「好きなんじゃなくて、必要だっただけだよ」
「ふうん? まあいいや、これ見てくれよ!」
絵を見たシェフィは次々と魔法陣に足りない式を書き足していく。
「これ、それぞれの魔法陣に直接書き足す必要があるかもね」
「じゃあ手分けをしよう、全部で四つ。全員で一個ずつ書こう!」
終わった分から一人ひとり紙を受け取り、急いで魔法陣の場所へと走り出していく。最後に残ったのはマイカだ。
「最後は一緒に行こうか。この絵、みんなに差し入れしたあの場所でしょ?」
「うん。ねえ、シェフィ」
「なに?」
少し、雰囲気が変わった気がする。大人っぽくなったというか、厳かな空気となったというか。
「ううん、なんでもない。手を貸してくれてありがとうね」
「うん」
ありがとう、か。そういえば、マイカだけはお礼を言ってくれていたっけな。忘れてた。でもこうして振り返ってみると、マイカは私を気にかけてくれた。魔法使いだから、使えないからという理由で差をつけなかった。優しいな、マイカ。
「具体的に何してたの?」
「魔法が使える人と、使えない人の歴史の違いを勉強してた」
「え?」
「王家の人から、王室書庫の読書の許可をもらったから」
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