魔法使いは城へ導かれる

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「どうしてこの世のすべてが自分にとって都合よくできてるって、思い上がれたんだろうね」  魔法は便利だらいろいろな事ができる。だから自分はなんでもできると思い込む。だから、恐れや危機感がマヒしてしまう。 「私達魔法が使えない人間は城に全然興味なかった。口をそろえてた、興味ないしどうでもいいって。当然ね、貯蔵庫に興味わくはずないもの」  貯蔵庫。その言葉にマイカはとうとう泣き叫ぶ。 「なんなのよそれ! ここから出してよ!」 「そう言われてもなあ。一方通行の転送用のものだから。ここにいたって出ることはできないけど。もしかしたらあそこに出る方法があるかもしれないから行ってみたら?」  あるわけないんだけど。 「なんでこんなことするの、どうしちゃったの! なんでよぉ!?」 「それが私の役割だから。他の理由なんてないよ。みんな特に理由もなく城に行く方法を必死になって調べてたでしょ? それと似たようなものじゃないの。役割だから、っていう理由以外別に必要ないでしょ」  それぞれ役割がある。魔法が使えるものは、その力を人間が生きるために使われなければいけないし。それを調整して管理するのが私たちの役目。 「こ、このまま私を上にあげたら。みんなと一緒に協力して城を破壊するから! エリーゼがいれば風魔法を使ってここに帰ってくることだってできる! その時はシェフィどんな目に合うと思ってるの!? それにこのこと世界中の人に言われたら困るのはそっちでしょ!」  自分に言えること全部書き集めたって感じだ。それしか交渉の材料がないから仕方ない。  そもそもそれが本当にそうなってしまうなら、私はここでペラペラ話したりしないだろうに。話しても問題ないから話しているだけ。もしかしたら、見てみたかったのかもしれない。  マイカのこういう顔。 「マイカの言葉、みんな信じてくれるかな。どうせ私がいない間も喧嘩したんでしょ。今マイカ、孤立してるんじゃない?」  想像しやすい。優等生ぶっているマイカはちょっと煙たがれていたから。  私もそうだった。ちょっと鬱陶しいなって思ってた。だから、今までの、お返し。
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