25 男の代表 女の代表

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25 男の代表 女の代表

「まったく 男ってえのは!」  私の、庖丁の持ち方を見て、妻が言った。  私は庖丁の柄を握り、峯に人差指を添えてカボチャを切っていた。こうすると、庖丁が回転するのを抑えられて安全だ。  だが、妻から見れば、その事自体が気に入らない。  何かあれば、人差指に刃が触れ、切ってしまう。柄をしっかり握っていれば良い、という。男は手が大きいから、みな、そういう持ち方をする、という。  いつのまにか、私は男の代表「男ってえのは」になっていた。  そして、妻は「女ってえのは」という、女の代表らしく振舞っていた。
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