第三章 逗留

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 借りた電動工具で自分の部屋に銃器棚を取り付けていく。  ”近隣住民”からは五月蠅いと苦情が来ているが、適当に流していた。取付作業が終わると、ベッドの上に放り出していた貰い物の散弾銃と…先日活躍してくれた自動小銃をラックに掛け、ロッカーの鍵を掛けた。 「終わったよ」  工具一式をまとめて片付け、工具箱に収納して拾い上げた。自分の部屋から出て、「マリン」「ミカエラ」と書かれた部屋を通り過ぎる。 「本部に行ってくる。昼はどうする?」  呼びかけると、マリンの部屋から返事が返ってきた。 「作っておくわ」 「了解」  家を出ると、ベティが駆け寄ってきた。 「おはよう、カカシ」 「おう、ベティ」  救出作戦から二日かけてプレッパータウンに戻ってきた。帰途の途中、無線機でウィルソン農場に二人と合流できた事を伝えると、スティーブは殊更不機嫌な声で「遅い!」と自分を叱責し、マリアは二人の顔を見たいから早く遊びに来て欲しいと言ってくれた。  二人にも合流しないか打診したが、思い出の残る農場にできる限り居続けたい、という気持ちは変わらないようだった。 「もしもの時には厄介になる」  スティーブがそう答えるに留まった。  そして一昨日、プレッパータウンに到着した。待ち受けていたトラヴィスと住民達に迎えられ、一連の報告と二人の紹介を済ませた。
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