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北
その時、ウキウキなママさん、フランチェスカ・ルバリエ・エルネストは目を覚ました。
あ♡まだ残ってりゅ♡彼のが♡
実際、結構久しぶりのエッチだった。
マリルカとかに邪魔されたのよね。昨日は。
きゃ♡赤ちゃんが起きちゃったみたい♡ああ可愛い赤ちゃん♡私がママよ♡
というか、ここのところ、毎日のように彼に求められて、大抵邪魔が入るのだった。
彼は、西の大陸に出張するという話だった。
西の大陸はそこまで遠くはないが、大陸間飛行だと、大抵出発は早朝深夜に出挺になる。
夜中に起きて、彼は、
「おはよう♡おはニャン♡おはニャン♡」
いきなり朝ワンの相手をされて、「ンニャアアアアア♡」って声上げちゃった♡
今頃、西の大陸向けて、彼は甲板の風に晒されてる頃だろう。
フランチェスカは、お腹をかばいつつ起き上がった。
今日は、大好きな夫がいない隙に、色々掃除しなきゃ。
隠し戸棚の毒虫は、ああ駄目、彼泣くもの。
不要なもの?当然捨てるわよね?誰だってそうする私もそうする。
剣を抜いて、階段を上がると、
「おはようございます。奥様。どうか剣をおしまいくださいませ」
五体投地した、リーゼロッテ・シュバルツが待っていたという。
ちっ。やっぱり王族って生き意地汚いのね。
おはようございます。ルバリエ先生?
デカフェのお茶と朝食を摂り終わったところで、生徒のアリエール・リトバールが、筒を手に現れた。
「いつもありがとう。アリエール」
お腹に赤ちゃんがいる奥様に対する、ちょっとしたサービスですわ。と言って、飛んでくるようになった飛行艇便を、甲斐甲斐しく届けてくれるようになっていた。
「今日は、アッと驚くお相手からの手紙ですわよ?」
ん?筒を開けると、ああ、鷲の紋章?王家?あれの実家ね?
遂に、実家に帰される、ってそれはないわね。あの親娘は。
意地でも、うちの人の子を生むつもりだし。
無言で、書簡を開いた。
ああ、あのお話ね?
うちの人が、無実の罪で捕まる前、やりたくないって送ってきた、あれね?
素早く返事を書いて、アリエールに返した。
「すぐ返信は可能ですわよ?艇を待たせてますもの」
ええ。確かに、今回の件は、純粋な力業で解決可能そうだった。
「リーゼロッテー。お腹減ったー。って、アリエールじゃんか」
「おはようございますマリルカ。今日もいつものプラチナブロンドですのね?ちょうど、お父上からお手紙が来てますのよ?」
「うん。アリエール、相手していて」
「はえ?ああ、パーティー選びですのね?」
「何か面倒臭そう。それ見せなさいよ。ダーリン関連なら私の領分だしさ」
「ダーリンて。奥様がいるのにそれは」
「うっさいうっさいうっさい!いいからよこせ!」
相手をしていられなかった。
安定期になれば、普通に歩けるはずだった。
フランチェスカは、「まおう」と札が貼られた部屋の隣をノックした。
伝説の魔王を使い魔にした恐怖のひまわりの部屋には、ルームメイトが午前の授業を前に、1人本を読んでいた。
アライダー・ファーストエビルの本ね。この子、初年生で古代語読めるのかしら?
「おはようございます。先生」
ちっこい眼鏡の生徒が、椅子から降りて寄ってきた。
うちの人をして、相当頭いい生徒と呼ばれている、ルルコット・タルボット。
可愛らしい、カッパーの生徒だった。
「おはよう。ルルコット。ユノはいる?」
「あ、ユノは、顔を洗いに行ってます」
「ルルコット、昨日いただいた元気ジュースは、美味しいですけど、何かおかしいです。あ、ルバリエ先生」
ユノが、こちらにテトテトやってきて、ルルコットと並んで、揃ってフランチェスカを見上げた。
何とも言えず、カワユイ。私を見上げるお目々が2対。
何このちっこさ。魔法幼稚園ひまわり組?
「あのね?ちょっと、話があるんだけど」
ん?ユノが首を傾げたが、それすら可愛かった。
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