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飛行艇が着艦し、流れてきた空気に、俺は懐かしさを感じていた。
あー、熱帯の空気に、シダの胞子が混じった空気、懐かしいなあ。
飛行艇舎は初めて降りたのだが。
9歳くらいの時、家族と旅行で西の大陸に行った時のことで。
あの時は、飛行艇じゃ高かったんで、船に乗ったんだったな。3日かかったけどさ。
多分、親父の仕事のバーターだったんだろうなあ。何か、客船て感じじゃなかったし。親父仕事してたし船でさ。
港に着いて、道具をリュックに入れてジャングルに1人分け入ったんだった。
虫!ヘビトカゲ!親父好みのシダ!シダはどうでもよかった。
テント張って、ジャイル・ズ・ム湿原まで行ったら、何か沼におっさんの集団が浮かんでた。
あー、食われたんだな、ヒュプノスラッグに。
平均体長30センチルの大型の肉食系ナメクジで、血の臭いが好きでゆっくり近付いてくる。血の付いた剣。盗賊か何かだな?
それで、風上に立ったら尻をサソリみたいに上げて、ユサユサ揺らして踊る。
尻の嚢胞には、えらい高濃度の幻覚物質のアルカノイドが入ってる。
それ吸ったらもう終わりだ。ウウェーイ金持ちだああああああああ!女!夢みたいだあああああああああ!
あっという間に群がられて、盗賊団は食われて死ぬ。夢見心地なまま。
ああ、まあ珍しいから、家に持って帰って増やそう。
そのままの勢いで、グレートフォールをロープを使って降りてった。
あー、あれ?誰かが、住んでたのかな?
残り香によると、金に物言わせてああ自然ていいなー。ってリゾート気分て感じのいけ好かない匂いと、何だろう、人なんだか土の塊なんだかって、自然と共に生きすぎてる感じの匂いがした。
どうでもいいけど爬虫類だらけだここ。虫もいっぱいいたし。
目一杯自然を満喫して帰ることにした。
街に近づいたところで、「お~い!」って現地の人の声が聞こえて、探索の役人追い越して、ギャン泣きした母さんに見つかった。
えらい怒られてしまい、親父にげんこつ食らって、西の大陸の冒険は終わった。
あの3日間は、俺にとって物凄く大きかった。
あの死体が広げていたテントも。
あれで得た知識は、教員になってからも生きていた気がする。
ただいま!あれ?元気な声出して、エメルダは駆けてった。
「おい、お前のご主人、お前置いてっちゃったなあ。よいしょ」
クリスタルリザードを俺が抱いて、エメルダを追いかけてった。
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