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どうやら、エメルダは結構偉い家系の子だったようで、お迎えの妙な馬車みたいなのが待っていた。
「ただいま!お前達!キャ」
実際馬車じゃなくて、鳥車だった。
車を牽くのは、原産の鳥類のヒクイダチョウだった。
ヒクイダチョウは、ジャングルの奥地にいる、火を吹くダチョウだった。
飛び蹴り食らうと胴体が千切れ飛んだりする。
2羽のダチョウに戦士が1人。まあVIPなんだろうな。て思った。
「先生、車に乗って」
お前、ダチョウのヨダレでベッタベタですよ?
俺は車に乗り込んだ。
御者らしき戦士が鞭を振るい、車は走り出した。
「エメルダ!まだぞろよく帰ってきた!それで?!このお方は?!」
車に座って俺達を待っていた、爺さんが嬉しそうに言った。
「うんオンじい。私の先生。先生、この人オンじい」
「それにしても、流石はエメルダじゃあ!しかもプラチナ?!さぞ偉大な方なんじゃろうな?!ああめでたい!これで、村には新たな血脈が!」
孫みたいなエメルダが帰ってきて嬉しいのは解る。
実力主義の世界で、強いのが来て嬉しいのも解る。
でも婿連れてきたみたいな話は要らない。
そのくらい解るよ?忖度せんでもそのくらい。
「では先生!オババに会いに行ってくだされ!」
車は、どんどんジャングルに向かっていった。
大陸の中心部であるマラガ市の東、古いジャングルの中に、エメルダの住んでいたラビ村は存在していた。
村とはいっても、結構栄えてるなあ。
ん?村の通りの真ん中に、テイマーらしき石像が立っている。
「あれ、うちのオババの若い頃の像」
へえ、爬虫類博士の俺から見ても、テイムモンスターに嘘はなさそうだ。
「村の中央にこんな像か。大変だっただろう?」
「そうでもなかったみたい。村の外れの丘にいっぱいあった。軽くて柔らかい」
ん?
「じゃあ、ついてきて。うちの村に来たら、まずオババに挨拶する必要がある」
よそもんが!うちに来たらオババに挨拶がいるんじゃあああああああ!
まあそんな想像をしてしまった。
ただいま。オババ。
案内された大きな館の奥に、ちっこい婆さんがちょこんと座っていた。
「お帰りエメルダ。今度はどうしたんだい?」
「解んない。校長に言われた。出張のお供、だって」
あああ。ウンザリして、オババは煙管の煙を吐いた。
「ルルドの奴相変わらずだね。で、この生っ白いのは何だい?婿と言ってたが、あたしには通じん」
はて?
まあいいか。
「アカデミーの教員、ジョナサン・エルネストと申します」
うん?オババの眉が、ピクリと動いた。
「ああそうかい。ならユックリしていきな。エメルダ、寝室はどうする?お前の隣でいいのかい?」
あれ?隣?まあいいけど。
「それって、ベッドの横に入れる穴、空いてる?」
「ああそうさ。婿殿、さっさと励みな」
「入る訳ねえだろうが。何に励めと?」
「昔の約束さ。あたしはもうババアだし、代わりにエメルダをだね?」
「でもオババ、私どうしたら赤ちゃん出来るか知らない」
初潮前のおぼこが知ってる方が怖えよ。
「そんなの、男がリードするのさ当たり前だろ?あたしの時は、天井のシミの数を数えてる内に終わるったよ。お前の曾祖母は、確か108つ目のシミさ」
幾つなんだオババは。
「要らねえよババア!俺が生徒に手え出す訳あるか!っていうかワクワク顔すんなエメルダ!」
「まあいいよ。その辺の話は。今日の晩飯は期待していいからね?イーサンの子孫」
何で、イーサンが出てくんだ?
謎のオババとの顔見せが終わった。
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