ゴー・ウエストは火薬味

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 よく解らないまま、宴会が始まった。  あー、野趣あふれる肉料理。  あ、腸詰め肉のスパイス料理か。  濃い味付けがデフォってのは、昔は内陸で、簡単に肉が手に入らなかった時代があったんだろうな。  9歳の頃に、その辺の食文化知っていればなあ。  味が濃いから酒が進むなあ。ワハハ!  周りの歓迎ムードに浸って笑っていると、 「あ?」  妙な銃声に反応していた。 「おや、先生よう気付いたね?火箭(かせん)に」  火箭? 「あれ、前のゼニスバーグの時にいっぱい飛んでた奴。弾の形は違うけど」 「ふうん?ねえ、見に行ってきていい?それとも、秘密なのか?」 「構いやせんよ。どれ、儂も見に行くかね?」  先に、オンじいが立ち上がった。  博多の中庭に、的を立て、長い筒を持った若者達が集まっていた。 「ようオンじい!あんたもやるかい?!」 「いや儂はいい。ただ、よそから来た婿先生に、火籤を見せてやってくれんか?」  ん。なら撃ってみろって銃を渡された。  へえ、前装式の火縄銃って奴か?タネガシマかな?  的は、へえ、100メトル向こうか。  俺は、既にこれだけ把握していた。  弾は入ってるし、まあいっか。    俺は、100メトル向こうの的の中心をぶち抜き、アクロバティックな動きで、ラムロッドを引き抜きバレルを拭って新たな弾を込めた。  若者達が、どよめいたのが聞こえた。 「ほう、大したもんだ。あんた、いっちょ前の火箭士だね?」 「いやまあ、昔?取った杵柄って奴で、エメルダ、オババの面会を頼んでいいのか?」 「結婚してくれればすぐ」 「結婚はしねえよ!ババアに会わせろって言ってる!」  まあ、今のところ順調だな。酩酊しつつも俺は、そう考えていた。
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