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マコトのコメントが発表された時刻。
マコトと葵は成田空港にいた。
「私の誕生日に入籍して、その日に新婚旅行行けるなんて夢見たいっ」
「最高の誕生日祝いだろ?それに、今逃したら全国ツアーが始まっちゃうからねぇ〜」
「打合せとか本当は忙しい時だったんじゃないの?」
「毎年やってるメンバーだから大丈夫だよ。これから10日間は二人だけの時間。仕事の事は忘れよう」
「うん」
館内にシャルル・ド・ゴール空港行きのファーストクラスの搭乗案内がアナウンスされた。
「さ。フランス行ってぇ、コンテ食ってぇ、フランス料理も食うぞぉ〜っ!」
「真言君も同じ事思ってたんだね!さすが夫婦〜っ。私ね、フランスでコンテとフランス料理食べたいなって思ってたんだよっ」
「……そりゃすげぇ偶然っ!やっぱり俺達は最高の夫婦だよ。葵が楽しみにしてるもん食って、楽しみにしてる所を見に行こっ」
葵は以前自分が言った事を忘れてしまっていた。
それには一切触れず、マコトが笑いながら葵の頭にポンッと右手を乗せた。
結婚指輪のアイスブルーダイヤがキラッと輝いた。
「スペインのパエリアも良いなぁ…。あ、あとイタリアのベネチアンガラスも見たいなぁ。小樽のガラスも綺麗だったけど、海外のガラスも楽しみ〜。ベネチアンガラスのグラスでワイン飲んだら、凄くオシャレだよね。イタリアのワインも美味しいし。イタリアでいっぱいワイン飲もうっ」
マコトの手を頭に乗せられたまま葵が嬉しそうにマコトを見上げた。
「その酔っ払いを俺が放って置くワケねぇだろ?」
「うふふ…。フランスでも飲んじゃおっ…」
「ふふっ…。ヨーロッパでの夜は忙しくなりそうだっ」
二人はシャルル・ド・ゴール空港行きの飛行機へ搭乗した。
── 完 ──
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