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また次の日。
立花は昨日作ったあんこを手に四苦八苦していた。見ると、丸めたそれを、円形に伸ばした白い皮で包もうとしている。
おそらく、饅頭でも作るつもりなのだろう。
しかし、あんこに対して皮が小さすぎて包むところまで至っていない。一部を閉じるともう片方がはみ出し、そちらを閉じると一度閉じたところがまた開く。それ以前に、皮が厚すぎて、出来上がったとしてもあまりおいしそうではない。
「…………」
それでも黙って見ていたが、十分経っても完成しない。次第にいらだちが募っていく。
「――ちょっと、あたしに貸して! 一体いつまでかかってんのよ!」
「う、うるさいな! ああ、そんな長い爪で触るな、汚いだろう」
「十分も素手でこねくり回してる方が汚いわー!」
立花が口うるさいので、爪の裏や間まできれいに洗ってから手を出した。しかし、まず彼の作った皮が問題だった。こんなぼこぼこで小さくて厚みのある皮じゃうまく包めないのも当然である。
あたしたちは結局、粉とあんこまみれになるだけでその日は終わったのだった。
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