外猫のトラ外伝~エブリスタウンにイルミネーションが灯る時~

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「おい、そこの余所者」 「クロ、車屋のクロではないか」 「何をいっちょる。おりゃは魚屋の黒だ」 『道理で』  一瞬黄昏(誰そ彼)時の黒猫は俺っちのダチ公の車屋のクロかと見間違えたが、クロのような精悍さは微塵もなく、ぶってりと太っている。  ちなみに「俥屋」ではなく「車屋」が正解。漱石先生の明治ははるか遠くになりにけり、だ。自動車整備工場の猫さ。 「おめえ、今『どいつもこいつも夢ばかり』とかすかしたことを言ってたが、おめえだってそうじゃないか」 「なんだと?」 「おりゃには見える。おめえの背後に超別嬪の雌猫がよ」 「なに?」 057bbf38-338b-46c0-90d5-b2290f1b7963
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