終章 明かされる過去

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 隠れ家に着くや、奥の方に布団を見つけた。  霊斬は千砂を起こさないように寝かせ、布団をかけてやると、声をかけられる。 「霊斬」 「起きていたのか」  霊斬が苦笑する。 「途中からだけどね」  千砂がくすっと笑う。 「悪いね。わざわざ送ってもらっちゃって」 「気にするな」  霊斬は微笑すると、隠れ家を後にした。    その帰り道、霊斬は思う。  どんなに辛くても俺はこの仕事を続ける。けれど、それ以上に、最後まで生き抜いてみせる。  周りの言うことなんざ、関係ない。  信じられる者だけと、ともに生きればいいのだ。  感情すべてを引き受けて呑み込み、嵐となって、生き抜くのも悪くはなかろう。  悪と言われても、はたまた英雄と呼ばれても、俺にはどうでもいいこと。  ただ独りで抗ったものがいた、と誰かの記憶に残るくらいでちょうどいい。  今さら多くを望むわけじゃあない。なにもかもを失ったのだから、望みなんぞ最初から要らん。  感情を犠牲にして得られるものなどなにもない。けれど、そうせずにはいられなかった。  霊斬は夜空に浮かぶ満月を見上げた。
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