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一応、右ポケットにもう一つ仕込んでおいた輪ゴムを嵌めるという面白いやつも用意してはあるが。
普通に指輪を嵌めた。彼女が満足気に頷く。
「よろしい」
「よろしいはないんじゃない?」
「油まみれじゃなくてよかった」
「ポ、◯テコもあるけど…」
「なあ、マジでアタシ以外に許されると思うなよ?」
彼女に促され、ベッドの端に並んで座る。
「しかし、フラッシュモブとか繰り出してくるんじゃないかとヒヤヒヤしたぜ」
「ヤダよ、恥ずかしいじゃん」
「いや恥ずかしいぞ?恥ずかしいからな充分」
言いながらも、嬉しそうに左手の指輪を眺めている。
普通か、普通なんだな。
やはり私みたいな人間には、サプライズは向いていないようだ。
「…………で、」
左手を降ろし、私の方を向く彼女。
「本物は?」
「よっく気が付いたねぇ、すごいや」
イミテーションである。
「いや、カマかけただけだけどマジか」
やはり私にはとことん向いていないようだ。
うん。
サプライズは、もうよそう。
「本物はホラ、明日の本番で渡すやつだから。流石にね」
「………………明日仕事なんだけど」
「うん、そーなの?」
じゃあ早く帰らなきゃね。と、立ち上がる。
「いやー、結局プロポーズまで練習させて貰っちゃって。助かっちゃったよ、感謝してる。本当に、今までどうもありがとう」
このあと刺された。
なるほど、余計なサプライズはしない方が良い。
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