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「うん、そうだね。じゃ、倉持さん、西田さん、僕らは行くね」
ばいばーいと手を振って二人は店を出る。一緒に居て自然体、そんな感じが強く伝わって来た。
「時雨、あれすごく強敵」
「わかってる。でもこれからよ!」
クランベリーからひかりの家までは歩きで十分程度の距離だった。二人で二階に上がると、早速悠が食い付いてくる。
「ひかり先輩!」
「わかってるって。お着替えするから、ちょっと後ろ向いててね」
「え、ええっ! こ、ここで! ま、まあ先輩の部屋だし普通なんだろうけど」
すぐ後ろでシュルシュルと制服を脱ぐ音が聞こえてくる。精神衛生上あまり高校男子によろしいとは言えない。ひかりはチラッとみたけれど固まって身動きしない。
「うーん、振り向いても良いんだけど僕ってあんまり魅力ないのかな? もう良いよ」
「あ、はい」
ようやく着替えたひかりは、短パンTシャツと身軽になっていた。あまりにも細い線に驚いてしまう。肌は白いし、美人だなと惚れ惚れした。
「何をぼーっとしてるんだい?」
「あ、いや、その、すいません」
「いいよっ。で、例の話なんだけど」
控え目に座っていた悠が身を乗り出してくる。この瞬間を待ちに待っていたのだ、勢いが違う。
「ど、どうしましょう!」
「おおう。部活が無い日にだよね。悠ちゃんはダメな日とかあるかな?」
部活の夏休みに予定表を取り出して紙をテーブルに載せた。何を隠そう、スケジュールはひかりが作ったのだ。
「俺、特に何もありませんから」
「そっか。うーんじゃあ……この辺りが候補かな」
額を寄せて表を見ていたが、チラッとひかりの方へ視線をやると、Tシャツの首もとから胸の谷間が覗いていた。もちろんそうなれば意識はスケジュールではなく胸に行ってしまうのは仕方ないこと。
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「――おーい。ね、悠ちゃん聞いてる?」
「え、いや、聞いてませんでした」
つい本当のことを答えてしまう。じゃあどうしていたんだよ、などと言われたらしどろもどろになってしまうだろう。
「そういう時は、聞いてなくても聞いてるって言うもんじゃなかったのかなあ? 変なところで素直なんだから」
「度々すいません……」
やれやれとスケジュール表に指を置いてもう一度説明をする。
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