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それからは、普通に幼稚園に行き、小学校に行き、なんのおかしさもなく中学校一年生となった。
しかしこの年、政河君の養母である久美子が亡くなった。(本人はまだ久美子が実の母親だと思っている。)
長年の持病だった肺炎をこじらせてしまったようだ。
久美子の肺炎に抵抗する力を奪ったのは中年の女性には厳しいシフトのパートと、ここ10年で最強の大寒波が久喜を襲った厳しい冬だった。
そして、政河君は冬と厳しい資本主義の世界を恨んだ。
しかし中学三年生の時、彼は悟った。
必死に勉強していい大学に入って就職すれば父親の方の重荷も下ろしてあげられるし、未来の妻や子にも楽をさせてあげられる。
それこそ、母のようなことは、二度と起こらないと。
このように思ってからの彼の行動は速かった。
毎日、寝る間も惜しんで勉学に勤しみ、青春などという幻想を見ることもせず、ひたすら目の前のテキストと向き合った。
そして、国立大学の工学部で学び、彼女なんか作ったこともないままエンジニアとして働き始めた。
しかし、働き始めて半年で働いていた会社が倒産してしまった。
それでもめげずに雇ってくれるところを探した。
だが、好条件なところは彼を採用しなかった。
何社の面接に行っても『お祈りメール』が届くばかり。
そんなことをしているうちに、養父の昭広が転倒により股関節を骨折してしまい、休職。
ついに、収入源が消えた...。
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