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ローズは扇を口もとに当ててクスっと笑い、マリーは真顔のまま黙っている。
アベールは歓喜の表情をしている。
そして、魔導士と神官は呆気にとられていた。
「いや、スキルは無効ですよ?」
「慈愛などというスキルはありませんよ?」
魔導士と神官が不思議そうにすると、ライザスはさらに険しい顔で言い放った。
「では失敗を認めるのだな。それなのにお前たちは嘘をついた。厳しい罰を下さねばならない」
ふたたび魔導士と神官が「ひいぃっ」と悲鳴を上げると、リリアが割って入った。
「お待ちください、旦那さま」
「リリア?」
「彼らの言う通り、私の力が弱いことが原因だと思いますので、私から謝罪いたします。本当に申し訳ございません」
リリアが頭を下げるとライザスは急に慌て出した。
「君が謝ることはない。あいつらが隠していたことに俺は怒っている」
「ではもうお許しになってください。こんなときに不謹慎ですが、私は嬉しいのです」
「え?」
ライザスが目を丸くすると、リリアは満面の笑みで言った。
「旦那さまが私に優しく接してくださるのは本心からなのでしょう?」
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