12、侯爵家の一族

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「結婚したとは聞いていたけれど本当だったのね。挙式はしないの?」 「ふたりで済ませた」 「まあ、もったいないわ。お披露目するべきよ。だって、こんなに綺麗なお嬢さまですもの。きっとみんな驚くわよ」  その言葉にライザスは眉根を寄せて表情を歪めた。  リリアはただならぬ気配を感じてぞくりとする。 (ああ、これはきっと、余計なことを言うな。口を出すな。という顔だわ)  リリアが不安な顔をしていると、ライザスは意外なことを口にした。 「ああ、そうだな。ぜひこの美しいわが妻の姿を親戚に自慢したい。茶会に招待してやろう」  ライザスの発言にリリアは「え?」という反応をし、ローズは「あら」と微妙な反応をした。 「何だ? 何か問題でもあるのか? 侯爵家の当主が親戚一同に妻を披露しようと言うのだ」 「まあ、当然のことよね。でも、あなた本当にライザスなの?」  ローズが怪訝な表情で見つめるので、ライザスは不機嫌な顔になった。 「まるで俺が頭でも打って変人になったかような言い草だな」 「そこまでは言っていないけれど、変貌ぶりが凄まじいわね」  ローズはリリアをじろじろ見て「ふうん」とだけ口にした。  あまりよい印象は抱かれていないのだろうとリリアは容易に察し、ただ笑顔を向けるだけだった。
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