12、侯爵家の一族

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「では、わたくしはこれで。ごきげんよう」  颯爽と立ち去るローズを見て、リリアは緊張の糸が切れたようにため息をつく。  となりでライザスが声をかけてきた。 「あまり気にするな。叔母は心底性格が悪いんだ」 「……あの、それ余計に気になりますけど」  まあ、嫁いだときから親戚たちに疎まれる覚悟はしておいたので問題はないが。 「大丈夫だ。何があっても俺があなたを守る」  わざわざ肩を抱いてそんなことを言ってくれるライザスに、リリアは胸がぎゅっと締めつけられた。  このまま魔法が解けなければいいのにと思う。  今が楽しくて幸せすぎるから、この時間をいずれ失ってしまうのが怖い。  だからリリアはあらぬことを考えてしまうのだ。  また、同じスキルが夫に付与されればいいのにと。  個人的な感情に流されるなど【贄嫁】として失格だとわかっていても、感情がどうにも制御できなくて、リリアは困った。  思ったよりライザスに気持ちを持っていかれてしまっている。  認めてはいけないけれど、彼に好意を抱いている。  優しくされて勘違いしているだけなのかもしれないとわかっていても、感情はどうにもできなかった。
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