12、侯爵家の一族

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「いかがでしょうか?」  とマリーが訊ねると、ライザスは険しい顔つきになった。 (ま、まさかご納得いただけていない?)  リリアが訝しく思うと同時にマリーも複雑な顔をした。  これでだめだと言われたら最初からやり直しだ。  もうすぐ客人たちが到着する。  ふたりが固唾をのんで待っていると、ライザスは頬を赤らめてぼそりとひとこと。 「最高に可愛い」  マリーは大きなため息をつき、リリアも安堵のため息をついた。 「さあ、行こう。あなたの自慢をするために」  真面目な顔でそんなことを言い放つライザスに、リリアもマリーももはや突っ込みをする気にもならなかった。  というか、慣れた。  しかし、親戚たちは今日初めてスキルを身につけたライザスと対面することになるのだ。  一体どうなることかとリリアは内心ドキドキしていた。
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