13、拗らせたふたり

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「一体いつまでこれが続くんだ?」 「次の儀式で旦那さまは元に戻るそうだが」 「そろそろ胸やけがしてきたぞ」 「早くいつものライザスさまに戻ってくれないだろうか」 「俺もされてぇ」 「は!?」  さすがに目の前でいちゃつかれるので騎士たちは呆れと嫉妬で愚痴をこぼした。  観光を終えて町から馬車で邸宅に帰る途中のこと。  日の暮れかけた山道で急に馬車が停止したのだ。  不審に思ったライザスが外に出ると前方で別の馬車が横転して複数の者たちが騒いでいた。  というよりは、一方が剣を振り回しながら襲いかかっているというほうが正しい。  彼らはこちらに気がついて、仲間に合図をするとにやにやしながら向かってきた。 「盗賊だ!」  御者は慌て出し、護衛騎士たちが剣を引き抜いて対応する。  ライザスも彼らに応戦した。 「あなたはそこから出ないように」  ライザスは自身の剣を手に迫りくる男たちを次々に薙ぎ倒していく。  リリアはそれをハラハラしながら見つめた。  しかし遠方から弓でライザスを狙っている者の姿を見て、リリアは叫んだ。 「旦那さま……!」
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