13、拗らせたふたり

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 声を上げたが間に合わない。  リリアは手のひらをかかげて風を起こし、飛んでくる矢を払い避けた。 「リリア」 「旦那さま、お気をつけください」  何本もの矢が次々に飛んできて、リリアはふたたび風を起こす。  ライザスは目の前の敵と剣を交えており、そちらまで対応が間に合わない。  リリアはしつこく矢を放ってくる敵に向かって水の魔法を使った。  リリアの放った水の渦は弓をつがえた男にぶち当たり、そのまま男は地面に落下し気絶した。  連続で魔法を使ってしまったリリアは魔力の消費が激しく、体に負荷がかかり、胸を押さえてその場に崩れた。 (お兄さまならこの程度でバテたりしないのに、本当に私はだめね……)  その直後リリアの背後に人影が現れた。  リリアは背中から男に羽交い絞めにされ、身動きがとれなくなった。 (まずいわ。逃げられない……!)  リリアは男に無理やり引きずられ、馬車から引き離される。 「リリア!」  ライザスが気づいて振り返ったが、その際目の前の敵に斬りつけられた。  それでも彼はすぐに反撃し、敵を薙ぎ倒してリリアへ目を向けた。 「妻を放せええええっ!!!」
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