14、ふたたびのスキル付与

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「最後に君を抱きしめてもいいか?」 「はい、旦那さま」  ライザスとリリアが抱き合うと、神官は目をそらし、魔導士は咳払いをした。 「ええっと、そろそろよろしいですかな?」  魔導士に声をかけられて、リリアとライザスは名残惜しそうに離れる。  まるで永遠の別れのような空気がふたりのあいだに広がるが、周囲はほとんど真顔、そして無言だ。 「では奥さま、魔力を開放してください」 「はい」  リリアは以前と同じように目を閉じて魔力の解放に集中する。  今度は余計なことを考えないよう訓練をしておいた。  まばゆい光に包まれて、リリアはライザスの両手を握る。  ライザスは終始リリアを見つめていた。  やがて光が一点に集まり、魔導士が手に持つ特殊な紙に文字が印字された。  光が消えると、魔導士は紙を見てゆっくりと告げる。 「侯爵閣下に付与されたスキルは……」  周囲が固唾を呑む。  リリアは少しうつむいて新しいスキルを受け入れる覚悟をした。  ライザスは険しい表情をしている。  魔導士がもったいぶりながら読み上げた。 「【慈愛】です」  その瞬間、空気が凍りついたように固まった。
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