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静寂が漂い、誰も微動だにしない。
わけがわからず呆然としている者たちの中で、騎士たちがぼそぼそと言った。
「また微妙なスキルが……」
「今度は一体どうなるんだ?」
彼らはじっとライザスの様子をうかがっている。
だが、当の本人は怒ることもなく冷静だった。
「どうやら俺はあなたを嫌いになってはいない」
「そうでございますか」
「ああ。これからもよろしくな」
「はい。こちらこそ」
リリアは安堵し、満面の笑みで答えた。
ふたりは大聖堂を出ると、粛々と馬車に乗って屋敷へ戻る。
マリーもふたりについて出ていくが、ローズは扉のそばで足を止めた。
大聖堂には魔導士と神官が残って何やらひそひそ話しているのだ。
ローズはこっそり耳を傾けた。
魔導士は相当焦っているようだった。
「はぁ、一体なんなんだ。どうして侯爵さまだけこのようなことになるんだ?」
「まったくだ。他の者のときはこんなおかしなことにならないのに」
「また4ヵ月後にスキルの付与か」
「そうなるだろうな」
「やはりあの女の魔力が弱すぎるせいだろう」
「まったくだ。今まで見てきた【贄嫁】の中でも一番の無能だ」
魔導士と神官はげんなりした顔でため息をついた。
ローズは何も言わずにひっそりと彼らから離れた。
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