14、ふたたびのスキル付与

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 それからもリリアとライザスはお互いにほどよい距離感を保ちながら穏やかに過ごした。  もちろん、お互いの本心は隠したままで。  スキル【慈愛】の効果は凄まじいものだった。    このスキルを身につけてから、ライザスは貧しい地域への支援を積極的におこなうようになったのだ。  これまでの彼は戦場への興味しかなかったが、今は人々の生活に目を向けるようになった。  窮乏した町へ足を運び、病に苦しむ者たちに医療を、腹を空かせた子どもに食糧を、そして学びたい者には学校へ行くための資金援助をおこなった。  リリアは妻として彼に同行し、支援者とともにパンやスープを提供した。  魔法で火を起こしたり水を出したりしたが、リリアの魔力では到底補いきれない。  それでもリリアは日々限界まで魔力を使った。  そしてついに倒れてしまったのである。 「すまなかった。俺が無理をさせてしまった」 「いいえ。私の体調管理が甘かったせいです。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」 「迷惑なものか。俺の慈善事業に付き合ってくれるだけで十分だ」 「旦那さまは本当にお優しいお方ですね」  リリアのその言葉に対して、ライザスはただ笑うだけだった。  このスキルがなければ彼がここまで変わることはなかっただろう。  そのことは本人も自覚しているし、周囲もそのように考えている。  けれど、リリアは今のライザスがすべて偽りであるとは思えなかった。
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