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そんなマクベス伯爵家とはずいぶん離れた町の郊外で、リリアは馬車に揺られながら鼻歌を口ずさんでいた。
(お兄さまは私が水魔法を使えることを知らないのよね)
兄に付いていた使用人はみなリリアに嫌がらせをしていたので、せいぜいあの部屋の掃除で大変な思いをするがいいと思った。
そして下の妹が上の妹の恋人と不貞関係にあることをリリアは知っていた。
そのことをずっと黙っていたが、せっかくなので彼女たちにも手土産を置いていこうと思ったのだ。
(どうせいつかバレることなら傷は早いほうがいいものね)
だが、彼女たちはどちらも気性が荒いので喧嘩では済まないだろう。
おそらく殺し合いになるだろうが、知ったことではない。
これは今まで彼女たちにたっぷりお世話になったお返しである。
「なんて清々しい朝かしら」
リリアは車窓から広大な大地の風景を眺めて楽しんでいた。
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