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予定通りそしてゼネシス男爵が訪れた日、リリアはしっかり体調管理をして万全の状態でライザスとともに彼を出迎えた
「お久しぶりです、侯爵閣下」
「ああ、遠征のときは世話になった」
ライザスは男爵と握手を交わし、すぐにリリアを紹介した。
「妻のリリアだ」
「はじめまして。お会いできて嬉しいですわ」
リリアが笑顔で挨拶をすると、男爵は照れながら笑った。
「噂の奥さまですね。やはりお美しいお方だ。侯爵さまが自慢するのもわかります」
「え?」
リリアが驚いてとなりを見上げると、ライザスは真っ赤な顔で咳払いをした。
「そのことはもういいだろう。あのときの俺は頭がどうかしていたんだ」
「恥ずかしがることないじゃないですか」
「立ち話もなんだから入れ」
ライザスはそう言ってさっさと邸宅内へ戻る。
男爵はリリアにそっと声をかけた。
「ずっとあなたのことばかり話していましたよ。妻が可愛いというセリフを僕らは何百回聞かされたことか」
リリアは恥ずかしさと申し訳なさが入り混じり、複雑な気持ちになった。
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